1 あくまで参考として御覧ください。個別の事情により、解決内容は異なります。
2 解決事例は抽象化しております。
1 遺言相続 遺産分割協議(相続人全員の合意により遺産を円滑に処分して配当したこと)
相続人10名以上いたため、普段お付き合いのない方々もいらっしゃいましたが、その分、全員に対して特別受益や寄与分がおよそ認められる状況ではないことを説得し、結果、全員の承諾を得て、法定相続分での遺産分割協議書を作成して締結できました。協議書締結後の預貯金の口座解約、株式、不動産等についても弁護士が代理人として、すべて手続きを行い、不動産は便宜上のため1人の相続人が取得して売却し、他の相続人は代償金を受領する形にして、相続人全員に配当しました。不動産譲渡税、不動産取得者の翌年の健康保険料等も含めて公平になるように解決しました。相続人の1人が行うとなりますと、手続きの公正さについて疑われる場合もあるかと思われますし、また、時間や労力がかなりかかる場合もございますので、その場合の対価をどうするかで不公平になる場合もあるかと思われます。このような場合に専門家に依頼するのも一つの方法となります。
2 遺言相続 寄与分(トイレの介護により寄与分が認められた場合)
被相続人の財産が増えたことや、減らなかったことについて、特別の寄与がある場合は、その相続人に寄与分が認められます。ただ、通常、寄与分が認められることはほとんどないと考えております。この件では、親と同居していた子が、通常の介護だけでなく、親のトイレの介護まで行っていましたので、単なる親子の扶養義務の範囲を超えて、大きな寄与があるとして、介護費等を基準に寄与分を計算して寄与分を主張しましたところ、他の兄弟姉妹も理解を示し、また、家庭裁判所の説得もあり、寄与分を認めてもらうことができました。
3 遺言相続 遺言無効確認請求訴訟(受遺者が遺言者より先に死亡したことから遺言書が無効となった場合)
遺言公正証書により、長男に相続させるとしていましたが、被相続人の親よりも先に長男が亡くなられたことから、遺言公正証書の無効を主張しところ、最高裁判所まで争いになりましたが、最高裁判所において遺言公正証書の無効が認められました。
4 遺言相続 後妻やその子らが知らない前妻の子がいた場合(寄与分が認められるのは極めて限定的であること)
再婚の場合などで、ほとんど行き来がない場合は、相続となって初めて、他にも相続人がいたという場合があります。
遺言書がない場合は、前妻の子も含めて遺産分割協議を行わなければなりませんが、感情的に一切渡したくないという気持ちがある場合も理解できますが、やはり法定相続分で協議することが最も良いかと思われます。
どちらの立場の場合も経験しておりますが、後妻側の場合は、遺産を開示して公正に行えば、法定相続分で早期に解決できると思われます。前妻側の場合は、相手方がどうしても遺産を渡したくない、あるいは渡すとしても少なくしたいという考えの場合は、寄与分等を主張してくる場合があります。しかし、認められることはなく、家庭裁判所での審判目前となって、裁判官から強く説得されて、結局は法定相続分で遺産分割調停が成立しています。
5 遺言相続 遺言公正証書(遺言公正証書は証人2人の面前で作成することから遺言能力について争われることが少ないこと)
遺言公正証書も絶対ではありませんが、ほとんどの場合が有効になると考えられます。遺言書を無効と主張する場合は、自筆証書遺言の場合は、形式の不備の主張と、遺言能力がないことがほとんどの場合といえます。遺言公正証書では形式の不備を主張されることがありません。また、遺言能力についても、元裁判官や元検察官という各専門分野で地位のある方々が公証人に就任されておりますことから、信頼が厚く、また証人2人がつきますので、遺言能力についても争われることは少ないと考えられます。そのため、遺言書作成のご依頼を受けた場合は、ほぼすべて遺言公正証書にしております。